金森弁護士の法律相談所
広告メールがウイルスに感染…
当社が配信している広告メールがウイルスに汚染されていることがわかりました。当社に、お客様に対して賠償する責任はあるのでしょうか。
送信したメールに添付されていたウイルスによって相手方に被害が発生した場合、発生する責任としては「刑事上の責任(刑事罰)」と「民事上の責任(損害賠償責任)」のふたつが挙げられます。
「刑事上の責任」
意図的にウイルスを配布して相手方に損害を与えた場合、電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)、偽計業務妨害罪(刑法233条)、電磁的記録毀棄罪(刑法258条)等が成立します。ただし、刑法上は意図的にウイルスを送信した場合のみ処罰されることとなっているため、うっかりウイルスを送信してしまったような場合には刑事上の責任は生じません。
「民事上の責任」
まずはじめに、民法709条では「故意または過失により、他人の権利を侵害し、損害を発生させた場合には、生じた損害について賠償責任を負う」と規定しています(この責任のことを不法行為責任といいます)。現在社会において、コンピュータを使う際にウイルス対策が必要であることは公知の事実。そのため、ウイルス対策・検出ソフトを導入しない、あるいは導入していてもアップデートしなかった、などの理由でウイルスに汚染され、ウイルス付きメールを送信してしまった場合には、過失があるとして不法行為責任を負うことになると考えられます。それが従業員個人の不法行為であった場合でも、雇用している会社は連帯して賠償責任を負うことになります(使用者責任。民法715条)。
また、契約上においても責任が発生することがあります。例えば、有料でメール配信を行っていた場合。たとえ送信者に過失がなかったとしても、無過失責任である瑕疵担保責任(民法570条,559条)を負うことになり、発生した損害について賠償をする責任が発生します。ただしこの責任は特約で排除できますので、有料情報提供サービス事業を行う際には「故意または重過失の場合しか損害賠償責任を負わない」という規定を契約の中に盛り込んだ方がいいでしょう。

金森将也
つばさ総合法律事務所所長
上智大学法学部法律学科在学中に司法試験合格し、2003年4月、25歳の若さで「つばさ総合法律事務所」を設立。M&Aを含む企業法務案件を多く手がける。
出演経歴:日本テレビ「行列の出来る法律相談所」若手弁護士特集・メ~テレ「どですか」にレギュラー出演。
ご予約・金額等詳細については、052-971-7555まで
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