金森弁護士の法律相談所
退職後2年間は同一の業務には従事しないという誓約書は、法的に有効?
当社では、退職した社員がライバル会社に転職したり、自分で新たに当社と同じ事業を始める場合が少なくありません。そこで、退職する従業員に対し、退職後2年間は、当社で取り扱った業務と同一の業務には従事しないという誓約書を提出させております。これは、法的に有効でしょうか。
憲法 条1項では、職業選択の自由が保障されております。つまり、国民は、正当な理由がなく、自分の希望する仕事に従事することを妨害されない権利があります。そして、退職をしてしまえば、会社の指揮命令権が及ばないので、退職後の身の振り方について会社に文句を言われたくないと思うかも知れません。
しかし、会社の側から見ると、元の従業員が会社の企業秘密をもってライバル会社に転職したり、自分で同業の事業を始めて、在職中に得た企業秘密を利用するというようなことがあった場合、会社として大きな損害を被ることになります。
そこで、従業員の職業選択の自由を保障する必要性と、会社として企業秘密の漏洩を防止してその利益を守る必要性の調和をはかり、競業禁止契約が有効か否かが判断されます。この点裁判例は、・制限の期間・場所的制限・制限対象職種の範囲・代償の有無などの観点から、「合理的範囲内」である場合についてのみ競業禁止契約が有効であると判示しております。逆に合理的範囲内と認められない場合には、公序良俗に違反するものとして無効になってしまうのです。
この点、平成6年に行われた東京地判では、1年の競業禁止を有効としてます。ご質問の会社の場合、競業禁止期間が2年ということですが、それ自体は不当に長いと言うことにはならないでしょう。あとは、企業秘密に直接関わる営業職や技術職についてのみ競業禁止とするというように職種を限定し、かつ競業禁止の見返りとなる特別の手当てを支給するなどしておけば、法的に問題はないと考えられます。

金森将也
つばさ総合法律事務所所長
上智大学法学部法律学科在学中に司法試験合格し、2003年4月、25歳の若さで「つばさ総合法律事務所」を設立。M&Aを含む企業法務案件を多く手がける。
出演経歴:日本テレビ「行列の出来る法律相談所」若手弁護士特集・メ~テレ「どですか」にレギュラー出演。
ご予約・金額等詳細については、052-971-7555まで
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