金森弁護士の法律相談所
マル秘顧客名簿のコピーを持ち出した元従業員に、不正競争防止法上の責任を追及することはできますか?

質問

私の会社では、多額の費用を掛けて作成した顧客名簿を、マル秘のマークを付けて保管していたのですが、当社の元従業員が無断でこの顧客名簿のコピーを持ち出してしまったのです。この元従業員に対して、不正競争防止法上の責任を追及することはできますか。

回答

不正競争防止法においては、営業秘密に対する侵害行為に対して、差し止め請求及び損害賠償請求ができると規定しております。そこで、今回の顧客名簿が営業秘密に当たるか否かが問題となるのです。

まず、営業秘密に当たると言うために、当該情報が秘密に管理されている状態にあることが必要です。具体的に、・当該情報にアクセス出来る者が制限されていること・当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることを認識できるようにされていることが必要です。本件においてはマル秘マークを付して保管していたということですが、自由に閲覧可能な他の書類と区別して保管しており、その顧客名簿を閲覧出来る人が制限されていたという場合には、営業秘密に対する侵害行為に該当する可能性が高いと考えられます。

さらに、営業秘密というためには、未だその情報が一般に知られていない必要があります。すでに知られている情報は秘密として保護に値しませんし、逆に情報の自由な流通を阻害することになるからです。本件の場合、あくまで社内で内部的に情報が利用されているのであり、対外的に知られているわけではないので、この点の要件は満たすでしょう。

なお、この元従業員がなした行為が不正競争防止法上の営業秘密の漏洩に該当するという場合、前述のように差し止め請求や損害賠償請求をすることができます。また、5年以下の懲役といった刑事罰も規定されておりますので、刑事告訴することも考えられます。ただし、情報が一旦漏洩してしまうと、事後的に回復することは困難ですし、情報漏洩事故を起こしたことによって信用下落というリスクもあります。そのためにも、情報漏洩事故を予防する事前の措置が必要となるのです。

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金森将也

金森将也
つばさ総合法律事務所所長

上智大学法学部法律学科在学中に司法試験合格し、2003年4月、25歳の若さで「つばさ総合法律事務所」を設立。M&Aを含む企業法務案件を多く手がける。
出演経歴:日本テレビ「行列の出来る法律相談所」若手弁護士特集・メ~テレ「どですか」にレギュラー出演。

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