金森弁護士の法律相談所

質問

実は、夫が半年ほど前に会社を解雇されていたのですが、家族に心配掛けたくないと黙っていて、サラ金から借り入れを給与として私に渡していました。ただ、返済ができず貸金業者から電話や督促が来るようになり、夫は自己破産を検討しなければならない状態です。ただ貸金業者の中には、夫だけではなく、生活費のために借り入れた借金だから妻の私にも支払い義務があるという業者がいました。そうすると、私も自己破産をしなければならなくなりますが、実際に借入をしていない私も返済する義務があるのでしょうか?

回答

ありません。 まず、基本的な考え方として、債務については、保証人等になっていなければ支払う義務はありません。これは夫婦であっても同様です。なぜなら、法律では夫婦がそれぞれ自分の名で得た財産あるいは負った負債、夫の借金については、それぞれの財産負債であるとする夫婦別財産制を原則としているからです。 但し、例外として、民法761条では「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、その一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」との定めを置いています。これを日常家事債務の連帯責任をいいます。 あなたに請求してくる業者は、この規定を根拠としているものと思われます。 この条文を一見すると、生活を送る上で夫婦の一方が負った債務は、すべて他方も連帯して返済しなければならないように感じるかも知れません。 しかし、これが広く認められてしまうと、夫婦別財産制の原則が損なわれてし、結局戦前のように、財産はすべて夫が管理処分権を有することと同じような状態となってしまいます。 そこで、一般的に「日常の家事」の範囲は狭く解される傾向にあります。もっとも、日常家事債務に含まれるかどうかは、それぞれの家庭の経済状態や、債務の内容によって変ってきますが、基本的に生活必需品の購入や家賃・医療費・教育費で、それほど高額ではないもののみが含まれると考えられています。 では、ご相談のように生活費のためサラ金から借り入れた債務はどうでしょうか。この借入金で生活費をまかなっていた以上、日常の家事により生じた債務の範囲内とも思えます。 ただ、サラ金の債務は一般的に高利であり単に親戚縁者からの借入と同視することはできないこと、しかも貸金のプロですので夫婦の一方に支払いの請求をするのであれば初めから保証人とすれば良いことなどから、サラ金業者からの借入行為の性質からして、仮に借入金を生活費に費消していたとしても、日常家事債務の範囲には含まれず、夫婦の他方配偶者は支払い義務を負わないものと考えられます。 したがって、あなたに請求してくる業者がいれるのであれば、支払い義務がないことをはっきり伝えるとともに、あまりにしつこいようであれば監督官庁へご相談されると良いかと思います。

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金森将也

金森将也
つばさ総合法律事務所所長

上智大学法学部法律学科在学中に司法試験合格し、2003年4月、25歳の若さで「つばさ総合法律事務所」を設立。M&Aを含む企業法務案件を多く手がける。
出演経歴:日本テレビ「行列の出来る法律相談所」若手弁護士特集・メ~テレ「どですか」にレギュラー出演。

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